富山県立大学 文芸サークル のブログ

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はじめに

こんにちは、富山県立大学 文芸サークルのブログへようこそ!
当ブログでは、サークルで行った活動の紹介や、過去作品の掲載、イベントの告知などを行っています。

 

◇ 当サークルについて知りたい方はこちら ◇
> 富山県立大学 文芸サークルについて

 

◇ 掲載中の過去作品 ◇

 

◇ 連絡先 ◇
お問い合わせ・加入希望は、X、InstagramGmail いずれかの連絡先から。ぜひお気軽にご連絡ください!

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なしお

富山県立大学 文芸サークル とは


こんにちは! 富山県立大学 文芸サークルです。
当サークルは、2018年に発足された、小説やイラストなど文芸作品の創作を行うサークルです。

 

◇◇◇活動紹介◇◇◇

主な活動▸▸秋の大学祭に向けたサークル誌の製作
毎年、部員の小説やイラスト作品を集めたサークル誌 "AnfANg" を製作し、秋の大学祭にて販売しております。

☆現在当ブログにて、過去の作品や AnfANg Vol.1の再録を掲載中ですので、ご興味のある方はそちらも覗いてみてください。また、AnfANg Vol.2の再録も近々掲載予定です。
活動報告一覧はこちら >

 

◇◇◇年間のスケジュール◇◇◇
・5~7月:顔合わせ&大学祭に出す部誌のテーマ決めミーティング
・7~9月:部誌に掲載する作品を各々制作・執筆
・9~10月:部誌の製本
・10月末:大学祭で部誌の販売

その他、臨時で活動が入ることもあります。
昨年は、11月頃に富山大学 ペンクラブ様と交流会を行いました。
また、文芸に関係することであれば新しく活動に取り入れることも可能ですので、何でもご相談ください。
現在はいませんが、俳句・短歌・詩・漫画等を創作される方も歓迎しています。

 

◇◇◇新入部員募集◇◇◇

  • 小説を書いてみたい人
  • イラストを描いてみたい人
  • 小説を読むのが好きな人
  • 校正や製本、ノベルティ制作等に興味がある人
  • その他文芸作品に興味がある人

*上手い・下手関係なく、やりたい人・好きな人を募集しています。初心者歓迎!
*活動はデータのやり取りがほとんどで、対面で集まることは少ないので、他のサークルやアルバイトとの掛け持ちも可能!看護学部の方でも続けやすいサークルです。
*新入生だけでなく、2年生以上の方も随時募集しています。

 

◇◇◇連絡先◇◇◇
X > @tpu_bungei
Instagram > tpu_bungei
Gmail > tpu.bungei@gmail.com
部員の加入はいつでも受け付けていますので、ご興味のある方はお気軽に上記の連絡先からご連絡くださいませ。2年生以上の部員も募集中です✨

◇◇◇◇◇◇

ご覧頂きありがとうございました!
富山県立大学文芸サークルでは、このブログのほかにX(旧Twitter)、Instagramでもお知らせを投稿しています。そちらもチェックしていただけますと幸いです。

ブログ運営係 なしお

お知らせ_入学式に参加しました

富山県立大学新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます🌸

本日、入学式にて、ビラ配りとステージ発表をさせていただきました!

▼配布したビラ

サークル紹介冊子やビラを見て、または紹介を聞いて、興味を持ってくださった方、ありがとうございます。

当サークルは、毎年、主な活動として、部員の作品を収録したサークル誌を制作しております。

どのようなサークル誌を制作しているかを詳しく知りたいという方は、本ブログに掲載の再録をご覧くださいませ。

活動は不定期で、他のサークルとの掛け持ちがしやすいサークルです。

本が好きな方、創作が好きな方、文字書きやイラストに興味のある方は、ぜひ当サークルへ!

 

◇ 連絡先 ◇
ご質問・相談・加入希望は、X、InstagramGmail いずれかの連絡先から。ぜひお気軽にご連絡ください!

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なしお

お知らせ_10/18(土),10/19(日) 学祭に出店します!

富山県立大学文芸サークルです。

今週末 10/18(土)・19(日) に開催される、富山県立大学 大学祭 に、今年も出店します!

今年の新刊はこちら

AnfANg vol.6

今回の新刊「AnfANg vol.6」は、「色」をテーマに、各部員が執筆・制作を行いました。

今年度入部の1年生の作品も収録されています。

また、昨年度発売の既刊「AnfANg vol.5」もご用意しております。

昨年度買い損ねた方も、ぜひこの機会にお買い求めください!

 

中央棟2階 N205教室にて、新刊 1冊200円、既刊 1冊100円で販売予定です。

新刊のみ、2冊購入で100円引きさせていただきます。ぜひ布教用などあわせて、また、ご友人とお誘いあわせのうえ、ご購入くださいませ🌸

サンプルもご用意しておりますので、お気軽にお越しください。

なしお

 

◇ 現在、ブログにて AnfANg vol.1、2  公開中 ◇

活動報告6_学祭販売冊子 AnfANg vol.2【再録】

こんにちは!富山県立大学 文芸サークルです。

 

当サークルでは毎年、部員の小説・イラスト作品をまとめたサークル誌『AnfANg』を制作しています。

昨年2024年度には、5作目となる『AnfANg vol.5』を制作・販売いたしました。

そして早いもので、なんと今年で『AnfANg vol.2』の発売から5年が経過いたします。

『AnfANg vol.2』は、2019年に発売された冊子で、ご卒業された先輩方の作品が5作品掲載されています。

今回は、2019年発売『AnfANg vol.2』の完売と、発売から5年の経過をもちまして、当ブログにて再録させていただこうかと思います。

それではどうぞ、お楽しみくださいませ。

 

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『AnfANg vol.2』(2019年発売冊子)

 

➤収録作品

・表紙絵 -緋色

・「知音」-花園

・「朝」-たん

・「星が好き」-あましゅん

・「妹似のロボット」-ゆうぞら

 

*PDFが埋め込まれています。画像上をスクロールするか、右上からポップアウトしてお読みください。

*一部画像差し替えあり

 

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以上となります。ご覧いただきありがとうございました。

 

2作目の『AnfANg』、お楽しみいただけたでしょうか。

今年度(2025年度)の県大祭では、昨年度制作の既刊『AnfANg vol.5』と、今年度制作予定の新刊『AnfANg vol.6』を頒布予定です。

皆さま、ぜひお気軽にお立ち寄りくださいませ🌟

 

文芸サークルの今後の活動にご期待ください。

ありがとうございました!

なしお

活動報告5_「残雪《冬編》」-AnfANg vol.5 掲載作品続編

こんにちは!富山県立大学文芸サークルです。

当サークルでは、毎年、部誌『AnfANg』を制作し、10月の大学祭にて頒布しております。
今年度の大学祭では、『AnfANg vol.5』を販売させていただき、多くの方に手に取っていただきました。
今回は、そんな『AnfANg vol.5』に掲載された作品「残雪」の続編である《冬編》をお届けいたします。

どうぞ、お楽しみくださいませ。

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残雪

ゆうぞら

 

 親戚の家にお世話になるために来たのはいいものの、小さい時に何回か行ったことがある程度で記憶も曖昧だ。

それに加えてこの大雪。この地域の人にとってはいつも通りなのかもしれないけど、ほとんど雪が降らない地域で育ってきた僕としては、珍しい光景だった。

更に運の悪いことにスマホの充電は切れてしまっていた。昨日の夜、充電を忘れてしまったことや、今日寝坊したこと、モバイルバッテリーを忘れてしまったことなど様々な悪いことの積み重ねの結果だ。

 唯一の幸いというべきか、行先の住所と簡単な地図はラミネートして持ってきており、この雪の中でも鮮明に見ることが出来る。まあ、これをやってくれたのは母なのだけど。

ただし、この雪景色の中で簡単な地図があったところで目的地に着くには絶望的だ。人に話しかけるのに躊躇はしない方なので、通行人がいれば声をかけるが、その通行人がいない。途方に暮れていると、先方に人影が見えた。これはチャンスだ。そう思い声をかけようとするも、寒さからか声が上手く出ない。このままだと不審者だと思って通り過ぎられてしまう。

その目の前の人は、僕のことが不審だと思ったからか、足を停めた。そして、

 

「あの、どうかしましたか?」

 

 やや震えた声で問いかけた。確かに今の僕は不審者に映ってもしょうがない。ただ、その声を聞いた瞬間、何となく安心した。

 

「すみません、少し道に迷ってしまって……。秋山さんの家に行きたいんですけど」

 

 するっと出てきた言葉は僕が思っていたよりも落ち着いた声音だった。メモを見せると、幸い知っていた場所らしい。

 

「あ、ここなら案内できますよ」

「本当ですか? ありがとうございます!」

 

 近くの目印なら知っているかも、位の期待感だったので、まさか知っているとは驚いた。

 

「良かったです。親戚の家を訪ねに来たものの、普段は家族と一緒に来るので道をあまり覚えてなくて。しかもスマホの充電も切れて打つ手なしだったんです。更にこんな雪の日だからか人も全然見つからなくて」

「あの……、大変でしたね」

 

 急に話し始めた僕に少し引き気味の表情で彼女は返した。

 

「すみません、急にまくしたてて。案内、お願いします」

 

 申し訳なくなり、案内をお願いした。

 

「いえ、気にしないでください。……こっちです」

 

と歩き出した。これ以上不審に思われるわけにはいかない。制服を着ているから同じ高校になる可能性もあるし。大人しく彼女の後ろをついていく。でも、時間も時間だし、彼女の用事は大丈夫なのだろうか? 何となく会話もなかったので、折角だし聞いてみることにしよう。ある程度まで案内してくれれば方向音痴というほどではないので、多分一人でも行けるはずだ。

 

「そういえば、貴方はこちらの方面に用事あるのですか?」

「はい、帰宅中ですが、こっちに家があるので。そこまで寄り道でもないですよ」

「あ、では地元の方なんですね。あの、遠回りになりそうでしたらそのタイミングで口頭での説明して頂ければ大丈夫です」

「本当に近所なので最後まで案内しますよ。スマホの充電も切れているならもし迷子になっても大変ですし……」

「すみません、ご迷惑をおかけして」

 

 どうやらこの人はかなりいい人らしい。見ず知らずの不審者みたいな人間にも優しくしてくれるなんて。ただ、あまり会話が得意でない様子なので、無理に話しかけない方がいいのかも?

 そんなことを思いつつ五分程無言で歩くと、見慣れた風景になり足取りが軽くなった。

 

「あ、ここなら何となく分かります。よく、この公園でいとこ達と遊んでいたんです」

「確かにここは小学生位までの子達がよく来てますね。自分も誰かの家かここで遊ぶことが多かったです」

「じゃあ、もしかしたら会ってるかもしれませんね」

「そうかもしれませんね」

 

 意外だ。ただ、あの頃は皆知らない子だったし、一緒に遊ぶこともなかったからそこまで覚えてないけど。

 思い出の公園を通り過ぎたら目的地はすぐそこだ。

 

「ありがとうございます」

「いえ、気にしないでください」

「せめてお茶でも……」

「帰りが遅いと親も心配するので大丈夫です」

 

 寒い中案内させてしまったし、それくらいは祖父母も用意してくれるだろう。そう思ったが、このくらいの年齢の娘がいたら、帰りが遅いと親も心配するかもしれない。妹も彼女と年が同じくらいだけど、少し遅いだけで、父親が心配しているし。母は過保護だって笑ってたけど。

 

「そうですか……。残念ですが、遅い時間ですからね。本当にありがとうございました」

 

 僕がお礼を述べると、

 

「では」

 

 彼女は軽く礼をして、帰路についた。

 

 

 

 

 

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「残雪《冬編》」は、ここまでとなります。

お楽しみいただけましたでしょうか。

当初の予定では冬の間に掲載する予定が、早春の掲載になってしまい、長らくお待たせいたしました。

 

ご覧いただきありがとうございました!

なしお

活動報告4_学祭配布冊子 リレー小説【再録】

こんにちは、富山県立大学 文芸サークルです。

当サークルでは、2018年に創設以来、毎年大学祭にて部誌『AnfANg』を頒布しております。
2018年発売『AnfANg vol.1』の完売、そして発売から5年以上の経過をもちまして、前回の活動報告3では、『AnfANg vol.1』の再録をお届けいたしました。
今回は、『AnfANg vol.1』と同時配布された、リレー小説をお届けいたします。

どうぞ、お楽しみくださいませ。

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以上となります。ご覧いただきありがとうございました。
次回は2024年度制作の『AnfANg vol.5』掲載作品「残雪」の続編をお届け予定です。
ありがとうございました!

なしお

お知らせ_10/19(土),10/20(日)学祭に出店します!

みなさん、こんにちは!

残暑も徐々に消え、過ごしやすい日も増えてきましたが、

いかがお過ごしでしょうか。

 

当サークルは今年も、

10/21(土),10/22(日)開催の富山県立大学 大学祭に出店します!

 

今回の新刊はこちら!

 

今年は「四季」をテーマとして、部員たちが執筆に取り組みました。

 

1冊100円で販売しております♪

中央棟(大きな黒い建物)の2階、N203教室にてお待ちしております!

 

なお、既刊は売り切れのため、今回は新刊のみのご用意となります。

 

よろしくお願いいたします。

 

Hana

 

活動報告3_学祭販売冊子 AnfANg vol.1【再録】

富山県立大学文芸サークルです。

当サークルでは、2018年に創設以来、毎年大学祭にて部誌『AnfANg』を頒布しております。

先日の行われた大学祭でも、新刊・既刊ともに多くの方に手に取っていただくことができました。

そして、お陰様で2018年発売『AnfANg vol.1』が完売いたしました。

完売御礼、そして発売から5年以上経過したということで、今回ブログにて再録させていただこうかと思います。

どうぞ、お楽しみくださいませ。

 

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AnfANg

目次 1ページ目 海山も隔たらなくに何しかも目言をだにもここだ乏しき 3ページ目 両想いの対処法  33ページ目僕だけが知っているあなたの秘密



 

 

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以上となります。ご覧いただきありがとうございました。

初めての『AnfANg』である今作、お楽しみいただけたでしょうか。

次回は『AnfANg vol.1』と同時に配布された、リレー小説をお届け予定です。

ありがとうございました!

 

Hana

 

 

活動報告2_朗読用文章の作成2

境界の向こう側

 

ソーラーパネルとりつけるのに68万かかるらしいよ」

「どうした? いきなり」

 

 桃花は帰宅後、ただいまも言わずにいきなり言った。急にソーラーパネルの話なんかしてどうしたんだろう? ちなみに私の家にソーラーパネルはついてないし、これからつける予定もない。

 

「あのね、今日社会で習ったの! ソーラーパネルとりつければ、自分の家で電気作ることができるんだって」

 

 桃花は興奮気味に話す。あ、これはきっとアレだな。

 

「だから、私たちの家にもソーラーパネルつけたい! とでも言うつもり?」

「何で私の考えていることが分かるの!?」

「だって、3年間お姉ちゃんやってますし」

 

 やっぱり、私の考えは正しかったようだ。桃花は私の思っている小学3年生よりもずっと純粋だと思う。

 

「流石、お姉ちゃん!」

 

 純粋無垢に笑う桃花を見て少し心が痛くなる。この子と会って3年間。そう、私達は実の姉妹ではない。桃花はお母さんの連れ子なのだ。しかし、桃花はそんなことを感じさせない位私をお姉ちゃんと慕ってくれた。いきなり一緒に住み始めた高校生なんて、どう接すればいいか困惑するだろうに、最初からこの調子だ。何なら「私にお姉ちゃんが出来ると思わなかった! 嬉しい!」って喜んでいた。

 

「ところで今日の宿題はもうやったの?」

「まだ! お菓子食べてからやる!」

 

 何となく調子が狂って話題を逸らす。帰ってきたばかりで宿題やれるわけないだろうに、そこを疑問に思わないのも無邪気だなあと思う。私が小学3年生の頃もこんな感じだったのだろうか? 疑問には思うけど、それも個性だろう。

 

「今日のお菓子はお母さんがクッキー焼いてくれたよ」

「わーい! お母さんのクッキー大好き! 今日は何の味かな」

 

 桃花はその言葉を聞き、冷蔵庫に向かって走っていく。マンションだったら下の人に迷惑を掛けそうなほどドタバタと。一軒家で良かった。

 

「ココアと普通のだった! お姉ちゃんはもう食べた?」

 

 キッチンから桃花が問いかける。

 

「まだだよ、一緒に食べよう」

 

 私は食べられないように即答した。

 

  •     *

 

「ごちそうさま!」

「ごちそうさまでした」

 

 桃花はココア、私は紅茶を飲み終わり、クッキーのお皿とマグカップをシンクに持っていく。これくらいならすぐに洗い終わるし、今から洗うか。お母さん、今日はノー残業デーだったから早く帰ってくるだろうけど、流石にこのままにしておくのは忍びない。

 

「ねー、お姉ちゃん」

「どうしたの?」

「うーん、何でもない。ただ呼んでみただけ」

 

 カウンターに乗り出してこっちに問いかけてきたので目線を上げたが、特に用事はないらしい。時々、こういう時がある。「お姉ちゃん」の響きが好きなのだろうか。私は視線を落として食器洗いを再開する。何となく気まずい沈黙が流れる。いつもこうだ。友達同士の沈黙はそこまで気にならないのに、桃花との沈黙は重い空気になっている感じがする。いつも天真爛漫で賑やかだから違和感があるのかもしれない。

 

「宿題、やっちゃいなよ」

「うん! 今日は国プリと計ド! 音読はお姉ちゃんが聞いてくれる?」

「いいよ」

 

 桃花は元気よく宣言して乱雑に放置されたランドセルに駆け寄った。ランドセルは3年間しか使っていないはずなのに、すごく年季を感じる。

 

「先に音読終わらせる!」

「どうぞ」

 

 毎日の日課になっている桃花の音読。お母さんが仕事の時はいつも私がサインしている。しばらく聞いていた物語ではなく、評論に代わっていた。それにしても音読大変だよなあ。

 

「終わった! ねえ、今日の音読どうだった?」

「いつも通り良かったよ」

 

 私はそう言いながら、保護者欄に「上手でした」と書く。

 

「他の宿題もやりなさい」

「お姉ちゃん、お母さんみたい」

 

 しょうがない、年が離れているんだから。しかも保護者のサインもよくするし。

 

「お姉ちゃんの宿題は?」

「私も今からやるよ」

 

 何て言ったってあと3カ月もしたら大学受験だ。第一志望は、寮がついている県外の大学。学力的には少し足りないから追い上げないと。お父さんからは県内の大学でここから通えばいいじゃないかと言われるが、正直継母と義妹がいる家は居づらい。だから、出来るだけ帰ってこなくてもいいような往復8時間位かかるところを選んだ。あと、私は生物が好きだからそれについて学べるところ。

 

「お姉ちゃんの宿題、難しそうだね」

 

 桃花が横からのぞき込んで言う。

 

「まあ、高校生だからね」

「私も高校生になったら分かるようになる?」

「なるんじゃないかな。ほら、ちゃんと自分の宿題やりな」

「うん!」

 

 しばらく黙々と、互いの筆記具を動かす音だけが室内に響く。お母さんが帰ってきた、17時半位までそれは続いた。

 

「ただいま~」

「おかえりなさい!」

「おかえりなさい」

 

 桃花はお母さんが帰ってくると一目散に玄関に向かった。珍しい、いつもはこっちにいるのに。少しするとお母さんもダイニングに来る。

 

「美雪ちゃん、偉いわね~、ちゃんと勉強していて」

「もうすぐでセンターだから……」

 

 お母さんは、桃花の騒がしさとは対照的でゆったりしている。冷蔵庫に荷物を入れ始めるのを見て、私は先ほどまで使っていたテーブルを拭いた。今日はお母さんが食事当番の日だ。それぞれが食事当番の時はその人に全面的に任せると決めてある。ちなみにお父さんはカップラーメンと目玉焼き、ハムやウィンナーを焼くぐらいしかできないので基本的に私かお母さんで回している。

 

「お母さん、今日のご飯は何?」

「トマトソースのロールキャベツだよ~。美雪ちゃん好きでしょ?」

「あ、はい」

 

 確かに私の大好物だ。よく覚えていたな。

 

「私も一緒に作る!」

「まあ、今日だけね」

 

 桃花の反応にお母さんは驚いたようだったが、何か納得したように笑った。

 

「私も手伝いましょうか?」

 

 ロールキャベツは美味しいが、すごく大変だ。そう思って声を掛けたが、

 

「大丈夫、美雪ちゃんは座ってて」

「お姉ちゃんの分まで私、頑張るよ!」

 

 桃花は任せとけ! とでも言うように胸をたたいた。

 

  •     *

 

「ただいま」

 

 ロールキャベツが出来たタイミングでお父さんが帰ってきた。

 

「あなた、丁度出来たのよ」

「私も一緒に作ったんだよ!」

 

 お母さんと桃花が鍋の中のロールキャベツを見せる。トマトの匂いがふわっと香った。何だか、私がいない方がいい家族みたい、だなんて。

 

「美雪、これ」

 

 不意にお父さんが袋を渡す。

 

「え?」

 

 いきなりのことに私は戸惑った。

 

「お姉ちゃん、誕生日でしょ!」

「あ」

 

 そういえばそうだった。再婚してからお父さんもお母さんも忙しそうで誕生日当日に祝ってもらったことないから忘れていた。

 

「ありがとう」

「お姉ちゃんに喜んでほしくて、私も料理頑張ったんだよ!」

 

 桃花が誇らしげに胸を張る。

 

「ありがとう、桃花」

 

 その瞬間桃花は弾けたように笑った。

 

「久しぶりに名前を呼んでくれた!」

 

 考えてみれば、最近桃花の名前を呼んでいない気がする。最初の1か月は気を遣っていたけど、それから先は何となく呼びにくかった。

 

「美雪お姉ちゃん、これ私からのプレゼント!」

 

 桃花は近くの文房具屋さんのラッピングを渡してくれた。

 

「頑張って選んだから使ってね!」

「あと、私からはこれ」

 

 最後にお母さんが少し大きめのプレゼントをくれた。

 

「勉強することも多いから、クッションあったら便利かなって~」

「ありがとう、ございます」

 

 驚きすぎて言葉が出ない。

 

「さあ、ご飯食べよう。お母さんが作ってくれたロールキャベツが冷めちゃうぞ!」

「お父さん! 私も一緒に作ったよ!」

「そうだったな、すまんすまん」

 

 さっきまで、私がいなくても完成していると感じていたが、今は違うと分かった。私が線を引いてたんだ。少し深呼吸をした後で私は、

 

「お腹空いたから早く食べよう」

 

 とその輪に加わった。少し、ぎこちなかったかもしれないけど、皆は当然のように迎え入れてくれた。

 

 

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前回に引き続き、朗読用に書き下ろした文章をお送りいたしました。

朗読用のものはこれで以上になります。

このブログでは、活動報告の他にも、このように作品を載せていく予定です。

お読みいただきありがとうございました。

 

Hana